有馬温泉・ホテル花小宿「ツタバス」の浴室に、「人魚」のモザイクアートを制作しました。約50〜60年前から愛されてきた既存のモザイクの面影を受け継ぎ、限りなく忠実に再現。浴室全体のタイルコーディネートから蒸し風呂のしつらえまでを手がけた事例です。
■ ご依頼内容 — 浴室空間まるごとのコーディネート
有馬温泉 ホテル花小宿「ツタバス」にて、浴室のモザイクアート(タイルコーディネート・小作品製作・人魚のレプリカ製作)を担当させていただきました。
浴室という水回りの空間だからこそ、汚れに強く美しさが長く続くMade in Japanのセラミックモザイクタイルの魅力を活かせる現場です。
■ 既存を受け継ぐ — 50〜60年の面影を忠実に再現
もとあったのは、おそらく約50〜60年前に作られた既存のモザイクでした(解体前)。
新たに蒸し風呂のスペースをつくることが決まっていたため、この人魚を同じ場所に残すことはできません。オーナー様は当初、既存のモザイクを移築することも考えておられました。けれど移築は、タイルと基礎の間の接着剤やセメントが邪魔をしてフラットに仕上げるのに高い技術を要し、モザイク同士の間隔を等間隔に保つのも気の遠くなる作業です。そこで、当時と同じMade in Japanのセラミックモザイクタイルが今も変わらず流通していることをお伝えし、移築ではなく、新たに忠実なレプリカを制作することをご提案しました。
長い時間をかけて愛されてきたであろうこの作品の面影を大切にしながら、完全に近く再現できるように、しかし枠はレトロな雰囲気を残しつつ、より華やかな印象になるようデザインをまとめました。オーナー様も、ここまで忠実に再現できるとは思っていなかったご様子でした。
■ 制作のこだわり — 一粒ずつ、人魚の曲線とうろこを
セラミックモザイクタイルを一粒ずつアトリエにて組み上げ、人魚の繊細な曲線やうろこの輝きを一つひとつ並べていきます。
色味を見ながら調整を重ね、少しずつ完成へと近づけていく時間です。
目地の色や仕上げを整え、浴室の壁に横約2m・縦約2.5mの人魚のモザイクアートが浮かび上がりました。
光の当たり方によって表情を変えるセラミックモザイクタイルは、温泉という非日常の空間にもよく馴染みます。
■ 蒸し風呂 — サンゴと目線を合わせ、海に沈む感覚を
蒸し風呂のスペースには人魚のモザイクアートの中にあったサンゴを再現しました。
蒸し風呂の中に居る時に人魚のモザイクアートのサンゴと目線が重なるように配慮しました。
海の中に居るように立体的な感覚を得られるようにと狙ってのことです。
■ 漢詩モザイク — 綿貫宏介先生の言葉を添えて
浴室には、故・綿貫宏介先生の漢詩「一浴且座喫茶(いちよく しゃざ きっさ)」もあわせてモザイクで表現しました。「ひと風呂浴びて、まあ座ってお茶でもどうぞ」——温泉宿や茶室、そして日常の極上のくつろぎを表す、とても粋な言葉です。これもオーナー様が選ばれました。
文字や言葉そのものをモザイクで描くことで、空間に物語性と奥行きが生まれます。なお、同じ花小宿では漢詩「浴後 一椀 茶」と特注水鉢を手がけた浴室「カエデロ」の事例もご覧いただけます。

■ 製作の様子を動画でご覧いただけます
■ 制作を終えて — 受け継ぐということ
ホテル花小宿のオーナー様とのご縁は、私が神戸に移り住んだ頃にさかのぼります。有馬温泉に注目していたところ、『あかりの学校』を著された先生が工房を開いておられ、その本を参考にモザイクの明かりを作ったことがありました。そのつながりからSNSでのやりとりが始まり、今回のご依頼へとつながっています。
オーナー様は、この人魚をもっと広げて壁一面に作りたいと思ってくださっていました(その後、御所坊本館のモザイク制作も控えていたため、納期の都合で今回は見送りとなりました)。工事に関わった職人さんたちも「同じものが本当に作れるんだなぁ」と驚いていたのが、印象に残っています。
■ ホテル・店舗・施設のご担当者様へ
既存空間を活かした改装、長く愛されてきた意匠の継承、浴室や非日常空間のタイルコーディネートまで対応します。汚れに強く美しさが長く続くMade in Japanのセラミックモザイクタイルは、水回りにこそ活きてきます。空間に物語と癒しを。ご相談・お見積もりは無料です。
オーダーメイドでの施工事例・ご相談は、お気軽にお問い合わせください。

